二陳湯とその派生処方 その2
二陳湯それ自体はあまり使われていないイメージ
だが、その派生処方はけっこう有名だ
陳皮・半夏が+αされているパターンについて
【基本処方:二陳湯(詳細は二陳湯とその派生処方 その1参照)】
No.81(二陳湯):半夏、陳皮、茯苓、甘草、生姜
適応:湿痰
主薬の半夏、陳皮には化痰(けたん=去痰)作用がある。そして、茯苓が脾の水をさばき、痰の生成を防ぐ。甘草は諸薬を調和し、半夏の毒性を除くために生姜(「半夏+生姜」の配合法則)がくわえらている。
咳、白い多量の痰、胸のつかえ、食欲不振、悪心・嘔吐などの湿痰の症状に適する。
【二陳湯の派生処方(プラス陳皮・半夏のパターン)】
No.43(六君子湯):人参、白朮、茯苓、甘草、陳皮、半夏、生姜、大棗
適応:脾気虚、湿痰
四君子湯に陳皮・半夏を加えるとと「六君子湯」になる。もちろん、二陳湯に人参・白朮・大棗をを加えると「六君子湯」になるともいえるが、前者のほうが覚えやすい。
詳しくは→四君子湯とその派生処方 その1を参照。
No.83(抑肝散加陳皮半夏):柴胡、釣藤鈎、当帰、川芎、白朮、茯苓、甘草、陳皮、半夏
適応:抑肝健脾、清熱解痙、湿痰
抑肝散に陳皮・半夏を加えると、その名の通り「抑肝散加陳皮半夏」となる。適応も抑肝散の適応に湿痰をくわえたものになる。つまり、抑肝散を用いるような患者で胃腸の弱いものや痰の症状があれば、抑肝散ではなく抑肝散加陳皮半夏が適している。
詳しくは→四君子湯+四物湯(八珍湯)とその派生処方 その3を参照。
【投薬時の注意点】
No.43(六君子湯):手足のほてりやのぼせなど陰虚の症状には用いない。 高熱時(外因の発熱)は休薬する。熱が下がりにくい。
No.83(抑肝散加陳皮半夏):高齢の認知症患者に多く使われているためか、甘草はそんなに多くないのに低K血症が散見されている。また芍薬甘草湯と併用する場合には、同時併用をさけ、30分~1時間あけるようにする。